CSRの仕事内容とは?業務の全体像・やりがい・年収を解説

記事の紹介

< この記事でわかること >
✔︎ CSRの具体的な仕事内容と、推進部門・各部門の役割分担
✔︎ 仕事のやりがいと、企業ごとの「本気度」の差という実情
✔︎ 公的統計から見る、CSRの仕事の年収の目安

「社会に良いことをする仕事に関わってみたい。そう考えたときに”CSR”という言葉を見つけたけれど、実際に何をしているのかがよくわからない——」

CSR(企業の社会的責任)という言葉自体は、ニュースや企業の採用ページなどで目にする機会が増えました。それでも、「具体的にどんな業務をしているのか」「どんな人が担っているのか」まではイメージしづらい、という方は少なくありません。

環境や社会貢献といったキーワードが並ぶこともあって、どこか漠然とした、つかみどころのない仕事に見えてしまいがちです。

この記事では、そうした「CSRの仕事って結局なにをするの?」という疑問に答えるべく、CSRの具体的な仕事内容から、それを担う部署のかたち、やりがい、そして実際に働く人が感じているリアルな事情までを、できるだけかみ砕いて解説します。社会性の高い仕事に関心がある方が、次の一歩を考えるための土台になれば幸いです。

目次

1. CSRとは?まず全体像を押さえる

1.1 CSRの意味 ─ 企業が果たす「社会的責任」

CSRとは、Corporate Social Responsibility(企業の社会的責任)の略で、企業が利益を追求するだけでなく、環境や社会に対して責任ある行動をとるべきだという考え方を指します。

もう少し具体的に言えば、事業活動を通じて社会にどのような影響を与えているかを企業自身が把握し、環境負荷の低減や人権への配慮、地域社会への貢献などに主体的に取り組むこと。それがCSRの中身です。

近年この考え方が改めて重視されるようになった背景には、気候変動をはじめとする社会課題への関心の高まりや、投資家・消費者・従業員が企業を「利益だけでなく社会性でも」評価するようになった流れがあります。企業にとってCSRは、もはや余力があれば行う社会奉仕活動ではなく、事業を継続していくうえで避けて通れないテーマになりつつあります。

1.2 CSR・ESG・SDGs・サステナビリティ・CSVの違い

CSRとよく一緒に語られる言葉に「ESG」「SDGs」「サステナビリティ」「CSV」があります。近い意味で使われることも多いのですが、力点には違いがあります。ここを整理しておくと、求人票や企業の情報を読むときに混乱しにくくなります。

用語主な意味力点・使われ方
CSR企業の社会的責任企業が社会・環境に果たすべき責任という「企業側の姿勢」に焦点
ESG環境・社会・ガバナンス主に投資家が企業を評価する際の「観点」として使われる
SDGs持続可能な開発目標2015年に国連で採択された、2030年までに達成すべき17の「国際的な目標」
サステナビリティ持続可能性社会や地球全体が持続可能であるための「目指す状態」を指す広い概念
CSV共通価値の創造社会課題の解決と企業の利益創出を同時に実現する「事業戦略」の考え方

厳密には重なり合う部分も多く、実務では明確に切り分けられないこともあります。ただ、ざっくり言えば「CSR=企業の責任ある姿勢」「ESG=投資家目線の評価軸」「SDGs=世界共通の到達目標」「サステナビリティ=目指すべき持続可能な状態」「CSV=社会性と収益を両立させる戦略」と捉えておくと、それぞれの言葉が出てきたときの見通しがよくなります。

とくにCSRとCSVの違いは、仕事内容を理解するうえで重要です。CSRが「事業活動に伴う責任を果たす」という発想であるのに対し、CSVは社会課題の解決そのものを事業の収益源にするという発想。近年は従来の「社会貢献」を主軸としたCSRから、事業や収益と結びつけて社会課題に取り組む「サステナビリティ経営」「CSV経営」へと力点が移りつつあり、「CSR部」を「サステナビリティ推進部」へと名称変更する企業も増えています。言葉は移り変わっていますが、根っこにある「企業が社会に対して責任を持つ」という考え方は共通しています。

1.3 CSRが扱う範囲 ─ 国際規格「ISO 26000」の7つの中核主題

「CSRの仕事」の範囲を把握するうえで、手がかりになる国際的な枠組みがあります。2010年に発行されたISO 26000(社会的責任に関する手引)です。日本でも2012年にJIS Z 26000として国内規格化されています。

ISO 26000は、認証を取得するための規格ではなく、組織が社会的責任を果たすための「手引き(ガイダンス)」として位置づけられているのが特徴です。そのなかで、組織が取り組むべきテーマとして次の7つの中核主題が示されています。

  1. 組織統治 ─ 意思決定の仕組みと、その透明性・説明責任
  2. 人権 ─ 差別の防止、社会的弱者への配慮、労働における基本的権利
  3. 労働慣行 ─ 雇用条件、労働安全衛生、人材育成、労使関係
  4. 環境 ─ 汚染の予防、資源の持続可能な利用、気候変動の緩和と適応
  5. 公正な事業慣行 ─ 汚職防止、公正な競争、バリューチェーンでの責任推進
  6. 消費者課題 ─ 製品の安全、正確な情報提供、個人情報の保護
  7. コミュニティへの参画及びコミュニティの発展 ─ 地域の雇用創出、教育・文化支援、社会的投資

この7つを眺めると、CSRが「社会貢献活動」だけを指す言葉ではないことがよく分かります。組織のガバナンスから、働く人の安全、取引先との関係、消費者への情報提供まで——企業活動のほぼ全域が対象です。

次章で見ていく実際の業務も、基本的にはこの7領域のどこかに位置づけられます。ただし、日本企業の実務で人員と予算が集中しているのは、主に「環境」「人権・労働慣行」「コミュニティ」、そしてそれらを社外に説明する「情報開示」の4つ。この記事でもその4領域を中心に見ていきます。

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2. CSRの仕事内容|「誰が」「何を」担当しているのか

CSRの仕事を理解するうえで、最初に押さえておきたい大切なポイントがあります。それは、CSRは特定の一部署だけが担う仕事ではない、ということです。

「CSRの仕事」と聞くと、CSR専門の部署がすべてを一手に引き受けているようなイメージを抱きがちです。しかし実態は少し違います。ここを理解しておくと、CSRの仕事の全体像がぐっとつかみやすくなります。

2.1 CSRを担う「部署のかたち」─ 旗振り役と、各部門の分業

まず前提として、CSRを専門に担う部署(CSR推進部やサステナビリティ推進部など)が置かれているのは、基本的に大手企業が中心です。中小企業では専任者を置かず、経営企画や広報、総務などが兼務するケースが多くなります。担当部署の呼び名や所属も、CSR推進部・CSR室・サステナビリティ推進部・社長室直轄など、企業によってさまざまで、一定の型があるわけではありません。

そして最も重要なのが、CSR推進部門の役割は「すべての実務を自分たちで行うこと」ではなく、全社の旗振り役として方針を定め、各部門と連携しながら取り組みを前に進めることだという点です。

たとえば——

  • 世の中の動向にアンテナを張り、いま自社が取り組むべき社会課題は何かを見極める
  • 全社としての方針や数値目標を定める
  • 各事業部門を巻き込み、進捗を管理する
  • 取り組みを統合報告書などにまとめ、対外的に発信する

こうした「戦略・調整・対外コミュニケーション」がCSR推進部門の中心的な役割です。
一方で、実際の現場のオペレーションは、それぞれの専門部門が担っているケースが多くあります。
次の項で、その代表例を見ていきましょう。

2.2 CSRの業務は、各部門の仕事の中にもある

CSRの具体的な業務は、大きく「環境」「人権・労働(サプライチェーン)」「地域社会」「情報開示」といった領域に分かれます。そして、その多くは、CSR推進部門と、実務を担う各部門との連携で進められています。

環境への取り組み
CSRの中でもいま最も比重が大きいのが環境分野です。CO2排出量の削減(脱炭素)、省エネや再生可能エネルギーの導入、廃棄物削減や資源循環などが中心です。全社目標の設定や進捗管理は推進部門が担いますが、実際の削減は製造・生産部門や施設管理部門など、現場を持つ部署が主体となって進めます。

人権・労働・サプライチェーンへの配慮
近年とくにニーズが高まっているのが、取引先まで含めたサプライチェーン全体で人権が守られ、適切な労働環境が確保されているかを確認する取り組みです。ISO 26000でいえば「人権」「労働慣行」「公正な事業慣行」にまたがる領域にあたります。ここは分かりやすい例で、この領域の実務は購買・調達部門が主管し、CSR/サステナビリティ推進部門と連携して進めるのが一般的です。実際、多くの大手企業が「CSR調達」を購買・調達部門の管轄と位置づけ、推進部門がそこに横串を通す体制をとっています。

サプライヤーの選定・評価、コスト・品質・納期の調整、供給網全体のリスク管理——こうした購買・調達の実務そのものに、人権や環境への配慮という観点が加わる。それが「CSR調達」です。つまり、CSRという看板の仕事ではなく、仕事の中にCSRの観点が組み込まれているというのが実態に近い姿です。

地域社会・社会貢献活動
地域の清掃活動、教育・文化支援、災害時の支援、従業員ボランティアの推進など、多くの人が「CSR」と聞いてまずイメージする活動です。推進部門や総務・広報部門が企画・運営を担うことが多い領域です。ただし現在の潮流としては、本業と切り離された慈善活動よりも、事業そのものを通じて社会課題の解決に貢献する方向へと重心が移りつつあります。

情報開示・ステークホルダーとの対話
取り組みを「実行する」だけでなく「伝える」こともCSRの重要な仕事です。統合報告書やサステナビリティレポートの作成、投資家・顧客・従業員・地域住民といったステークホルダーへの開示、ESG評価機関への対応など。社内の各部門から情報を集約し、対外的に説明できる形に整えていく——推進部門やIR・広報部門が中心的に担う、コミュニケーション色の強い仕事です。

2.3 「CSRの仕事」には二つの入り方がある

ここまでを整理すると、CSRに関わる仕事には大きく二つの入り方があることが見えてきます。

一つは、CSR推進部・サステナビリティ推進部といった専門部署で、全社の旗振り役として関わる道。もう一つは、購買・人事・広報・企画といった各部門で、自分の専門業務の中にCSRの観点を取り込みながら関わる道です。

「CSRの仕事に就くには、CSR専門部署に入るしかない」と思い込む必要はありません。むしろ、いま自分が持っている職能を土台に、その舞台をCSR・サステナビリティ領域に広げていく——そうした関わり方のほうが、現実的な選択肢になることも多いのです。

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3. CSRの仕事のリアル ─ やりがいと、知っておきたい実情

CSRの仕事は社会性が高く、やりがいの大きい仕事です。一方で、実際に働く人からは「思っていたのと違った」という声が聞かれることもあります。ここでは、良い面と、事前に知っておきたい実情の両方を率直にお伝えします。

3.1 CSRの仕事のやりがい

CSRの最大の魅力は、自分の仕事が社会や環境の課題解決に直接つながっている実感を得られることです。

売上や利益といった数字だけでは測れない、「社会に良いことをしている」という手応え。それを日々の業務の中で感じられるのは、この仕事ならではの価値です。また、環境・人権・地域・情報開示と扱うテーマが幅広く、社内のあらゆる部門や、社外の多様な関係者と関わるため、視野が広がりやすいのも特徴です。とくに推進部門は企業全体を俯瞰する立場で、経営に近いテーマに携われるため、その点に面白さを感じる人も多くいます。

3.2 知っておきたい実情 ─ 企業ごとの「熱量の差」

一方で、CSRの仕事を考えるうえで正直にお伝えしておきたいのが、CSRに対する熱量や本気度が、企業によって大きく異なるという点です。

経営レベルで明確な方針を持ち、事業と結びつけて腰を据えて取り組んでいる企業もあれば、対外的なイメージづくりが中心になっている企業もあります。さらに、CSRは経営の意向に左右されやすい領域でもあります。上司や経営トップの交代によって、CSRにかける予算が削られたり、これまで進めてきた方向性が大きく変わったりすることも、決して珍しくありません。

実際に現場でCSRに携わる人からは、「本質的な社会課題への取り組みというより、各方面やステークホルダーに向けたアピールのための活動になってしまっているように感じることがある」という声を聞くこともあります。理念として掲げられていることと、現場で実際に動いていることの間にギャップがある——これは、CSRという仕事が抱えやすい構造的な難しさだと言えるかもしれません。

こうした話は、CSRの仕事を否定するものではありません。むしろ、企業選びの段階でこの「熱量の差」を見極めることが、後悔しないための最大のポイントになる、ということです。同じ「CSR担当」という肩書きでも、その仕事が経営の中でどう位置づけられているかによって、働きがいはまったく変わってきます。応募を検討する際には、カジュアル面談などの機会に、取り組みの具体性や、経営における位置づけ、予算の安定性などを確認しておくことをおすすめします。

3.3 向いている人・求められるスキル

CSRの仕事に向いているのは、社会課題への関心を持ちながらも、それを具体的な施策として粘り強く形にしていける人です。

環境や人権に関する専門知識があれば有利ですが、それ以上に重視されるのは、社内外の多くの関係者を巻き込みながら物事を前に進める調整力や、幅広い情報を集めて分かりやすく整理・発信する力です。前章で見たように、CSRは各部門との連携で成り立つ仕事だからこそ、営業、企画、広報、調達といった他部門で培ったビジネススキルが、そのまま活きる場面も多くあります。「社会に良いこと」への想いと、それを事業として動かす実行力。この両方を持つ人が、CSRの現場で力を発揮しています。

3.4 CSRの仕事の年収の目安

まず前提としてお伝えしておきたいのは、「CSR担当」という職種を単独で切り出した公的統計は存在しないということです。CSR・サステナビリティ推進の仕事は、企画・調査系の職種として扱われることが多く、統計上は他のビジネス職と区別されていません。

そのため、ここでは一般的なビジネス職の水準を、公的統計から役職別に押さえるという形で目安を示します。

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、一般労働者の役職別の賃金(所定内給与額・月額)は次のとおりです。

役職所定内給与額(月額)12か月分の単純換算
非役職者30.3万円約363万円
係長級38.6万円約463万円
課長級51.2万円約614万円
部長級62.7万円約753万円
出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」

※「所定内給与額」は、残業代・賞与を含まない月額の給与です。実際の年収は、ここに賞与が加わります。賞与が年間3〜4か月分支給される企業であれば、上記の金額よりおおむね1〜2割程度高くなる計算になります。また、これは全産業・全職種の平均値であり、特定の職種の水準を示すものではありません。

もうひとつ、全体像として押さえておきたいのが国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」です。1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は478万円、うち正社員(正職員)は545万円となっています。

これらを踏まえると、CSRの仕事の年収は、担当者クラスでおおむね400万円台〜600万円台、管理職・責任者クラスで700万円台〜1,000万円前後が一つの目安になります。ただし、実際の水準を左右する要因はいくつもあります。

  • 企業規模:CSR専任部署は大手企業に置かれることが多く、同調査でも大企業(常用労働者1,000人以上)の賃金は36.5万円(月額)と、小企業の29.9万円を上回っています。
  • 業界:環境負荷の大きい製造業や、ESG開示要求の強い金融業など、業界によって重視度も処遇も変わります。
  • 役割の位置づけ:同じ「CSR担当」でも、経営戦略の一部として位置づけられているか、広報の一機能として運用されているかで、求められる経験も報酬も異なります。

つまり、年収を左右するのは「CSRという職種かどうか」よりも、その企業がCSRをどれだけ経営の中心に据えているかという点です。これは前項で触れた「熱量の差」とも重なる話で、具体的にどのような求人があり、どの程度の条件が提示されているのかは、実際の求人を見て確認するのが確実です。

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4. まとめ ─ CSRの仕事を、正しく理解して次の一歩へ

まとめ

CSRの仕事は、環境・人権・地域社会・情報開示といった幅広いテーマを通じて、企業の社会的責任を形にしていく仕事です。ただし、それは一つの専門部署が抱え込む仕事ではなく、CSR推進部門が旗を振り、購買・人事・広報・企画といった各部門が実務を担う——その連携によって成り立っているという点が、大きな特徴です。

だからこそ、CSRに関わる道は一つではありません。専門部署で全社の旗振り役を担う道もあれば、いま自分が持っている職能を土台に、その中にCSRの観点を取り込みながら関わっていく道もあります。

そして忘れてはいけないのが、企業によってCSRへの熱量や本気度に差があり、経営の方針に左右されやすいという実情です。CSRという言葉のイメージだけで判断せず、「その企業が、CSRに本気で取り組んでいるか」「その仕事が経営の中でどう位置づけられているか」まで見極めること。ここを押さえられるかどうかで、同じCSRの仕事でも、その後の働きがいは大きく変わってきます。

私たちプロビティ・グローバルサーチが大切にしているのは、三次元マッチングという考え方です。
①スキル・経験、②本人の想い・価値観、③組織文化・制度・経営の質——この3つの軸から多角的に見極めることで、年収や役職といった条件面だけでは分からない「本当に合う会社かどうか」を一緒に確かめていきます。人は大人になってからも段階的に成長し続ける、という成人発達理論の考え方を土台にした、私たち独自の手法です。

CSRのように、企業ごとの本気度が働きがいを大きく左右する領域だからこそ、③の「組織文化・経営の質」を見極める視点が効いてきます。「社会に良い仕事に関わりたい」という想いを、後悔のないキャリアにつなげるお手伝いができればと考えています。

まずは、どんな求人があるのかを知るところからでも構いません。次のキャリアの一歩を、一緒に考えていきましょう。

なお、私たちは人材紹介1件につき、タイの貧困地域の子ども1名の就学を支援する取り組みを行っています。ご相談いただくこと自体が、めぐりめぐって社会に還っていく。そんな事業のかたちを目指しています。

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