内閣府の「社会意識に関する世論調査」(令和7年10月調査)によると、「社会のために役立ちたい」と考える人は61.6%。そのうち44.4%が、社会に貢献したい方法として「自分の職業を通して」と回答しています。
仕事は社会との接点である一方、私たちの暮らしを支えるものでもあります。収入や働き方、自分自身の成長も大切です。では、「社会によい」と「自分によい」は、どう考えればよいのでしょうか。
■「両立」ではなく、「重なり」を探す
先日、この連載の取材で、「社会によくて、自分にもよいことをどう両立すればよいでしょうか」と聞かれました。そのとき、「両立」という言葉に少し違和感がありました。
両立というと、別々にある二つのものを、どちらも成り立たせるようなイメージがあります。でも、私たちが大切にしている「社会によくて、自分にもよい」は、少し違います。
たとえば、家族が幸せそうにしているとうれしかったり、社会で起きた出来事に心を動かされたりすることがあります。そう考えると、「自分によいこと」と「社会によいこと」は、独立して切り分けられるものではないように思います。
自分が大切にしたいことと、社会にとってよいことは、もともと別々に存在するものではなく、つながっているものと思っています。その中で、自分なりの重なる場所を見つけていく。そんな感覚に近いのです。
■転職の現場でも、「どちらか」では考えない
この考え方は、プロビティの人材紹介にも表れています。
たとえば、求職者の希望年収と、企業が提示できる条件が合わないことがあります。その場合、求職者と企業のどちらか一方の希望を通すことをゴールにはしていません。
私たちが大切にしているのは、その方が入社したあと、のびのびと働き、成果を出せることです。条件を上げすぎれば、企業からの期待が本人の負担になることがありますし、低すぎても長く働き続けることが難しくなります。
ですから、求職者と企業双方にとって、よりよい着地点を一緒に探していきます。
■「何かが違う」から始まることもある
プロビティに相談に来られる方は、最初から自分の希望を明確に言葉にできているとは限りません。
「今の仕事に、何となく違和感がある」
「もっと社会の役に立つ仕事がしたい」
「でも、どんな仕事を選べばいいのかわからない」
そんな漠然とした思いから始まることもあります。
対話を重ねる中で、自分が本当に大切にしたかったことに気づき、キャリアの選択肢が見えてくる。実際、一度は条件面から転職を見送ったものの、「やっぱりやりたい」と再び相談に来られる方もいます。
求人をご紹介する前に、その方が何を大切にしたいのかを一緒に考える。対話を重ねながら、その方なりの選択肢を探していくことも、私たちの大切な役割だと思っています。
■それぞれの「重なり」を見つける
「社会によくて、自分にもよい」の形は、一人ひとり違います。
転職する方もいれば、今いる場所で働き方を見直す方もいます。大切なのは、誰かの正解に合わせるのではなく、自分なりの問いを見つけていくことなのです。
9月12日に開催する「ソーシャルグッドキャリア大研究会」も、誰かが答えを教える場ではありません。さまざまな人との対話を通じて、自分自身のキャリアを考える場にしたいと思っています。
「自分はどう働きたいのか」
「仕事を通じて、どんな社会とつながりたいのか」
すぐに答えが見つからなくても構いません。0.5歩の小さなアクションを起こすことから、人生が動き始めます。
問いを持ちながら、二つが重なる場所を、私たちと一緒に探していけたらと思っています。

