【開催レポート】語らう、つながる、動き出す。「社会によくて、自分にもよい」キャリアの現在地 ~101人の「研究員」と探した、それぞれのソーシャルグッドキャリア大研究会2026

「社会にとって意味のある仕事がしたい」。
そう思う一方で、収入や働き方、これまで築いてきたキャリアを考えると、「では、何から始めればいいのだろう」と立ち止まってしまう。今すぐ転職したいわけではない。でも、このままでいいとも思っていない。

そんな思いを、一人で抱えるのではなく、さまざまな経験や思いを持つ人たちと一緒に考えてみたら、何が見えてくるのでしょうか。

2026年9月12日、プロビティ・グローバルサーチは「ソーシャルグッドキャリア大研究会2026」を開催しました。集まったのは101名。転職だけをゴールとせず、起業も、今いる会社での挑戦も含め、「社会によくて、自分にもよい」キャリアについて考える一日を過ごしました。

イベント概要

  • 日時:2026年9月12日(土)12:00〜17:00
  • 会場:Warm Heart Cool Head TOKYOBASE
  • 登壇者: 高藤悠子/米良克美さん/大川陽介さん
  • 先輩研究員:古賀翼さん/森田 真由子さん/倭文 隆広さん/貞松 香織さん/松井 俊祐さん/斎藤 百合恵さん/皆川 朋子さん/今井 七海さん/渡邊 和樹さん/朝倉 保匡さん/大貫 冬斗さん/脇水 美千子さん
  • 企業:マカイラ株式会社 城居 秋馬さん/一般財団法人日本民間公益活動連携機構 山中 資久さん

目次

イベントレポート

答えがないから、みんなで「研究」する

冒頭、プロビティ・グローバルサーチ代表の高藤悠子は、参加者にこう呼びかけました。

「今まさにソーシャルグッドなキャリアを歩んでいる人も、
まだそうではないけれど興味がある人も、
今日は、みんなが研究員です」

そして立場や所属に関係なく、それぞれの経験や問いを持ち寄る場にしたいと伝えました。

これまで高藤が、多くの人材キャリアに向き合う中で感じてきたのは、社会に意味のある仕事に関心を持ちながらも、「どう動けばいいかわからない」と立ち止まる人が少なくないことです。だから今日は、「語らう」「仲間とつながる」「動き出す」の3つを目的に据えました、と想いを話しました。

「語らう」|「あなたにとってのソーシャルグッドキャリアとは?

最初に高藤が投げかけたのは、「あなたにとってのソーシャルグッドなキャリアとは?」という問いでした。なんとなくイメージはあっても、いざ言葉にしようとすると難しいものです。

当日会場で渡された「研究員ノート」を開き、まずはこの問いの仮説を書き込みます。そのあと、隣の研究員と共有します。別の人の考えに触れることで、自分の中にあった曖昧な思いの輪郭も少しずつ見えてきたようです。

高藤は、キャリアを前に進めるには、「内省」だけでなく、「情報収集」と「行動」を循環させることが大切だと話しました。考える。人に会う。本を読む。誰かに話してみる。動いてみる。そうした「外との摩擦」によって、初めて見えてくる自分があると言います。
そして、冒頭投げかけた問いである「ソーシャルグッドなキャリア」の形は、一つではないと語り続けます。非営利組織やソーシャルベンチャー、インパクトスタートアップだけでなく、大企業の新規事業やサステナビリティ、地域企業、行政など、社会との接点はさまざまです。

転職すること自体を目的にするのではなく、自分がどこで、どんな形なら生き生きと力を発揮できるかを考えることが大切だと伝えました。

「語らう」|データから見えてきた「自分にもよい」の意味

続く、株式会社WeLLBeING代表・米良克美さんのセッションでは、「キャリアと幸福度」をデータから考えました。

紹介された研究では、転職すれば単純に幸せになるわけではなく、転職する理由によって幸福度の傾向が異なることが示されました。そして、会社や仕事への不満などネガティブな理由から転職した人では幸福度が低い傾向がみられた一方、新しい挑戦やキャリアアップなど前向きな理由を持つ人では異なる傾向がみられたといいます。

また、プロビティ・グローバルサーチの「ソーシャルグッド転職」を利用した人を対象とした共同研究では、転職後に幸福度が上昇し、その変化には「自分らしく働けている」「やりがいや充実感がある」「仕事を考えると楽しい」といった要素との相関がみられました。

さらに米良さんは、仕事の幸福度には「この仕事が社会や誰かの役に立っている」と感じられることに加え、自分で仕事のやり方をコントロールできる「自律性」なども関係していると紹介。
社会的な意義だけを追いかけるのではなく、自分らしく働ける余白があるかという視点を話しました。

「社会によい仕事」かどうかだけではなく、
そこで働く自分自身も幸せでいられるか。

「社会によくて、自分にもよい」という言葉の「自分にもよい」を、データからも考える時間になりました。

さらにリスキリングの研究からは、「学ぶこと」以上に、「自分の意思で学ぶこと」の重要性が示されました。会場からは、「主体性は勉強に限った話ではないのでは?」という問いも。そこから話は、学びだけでなく、仕事やキャリアを「自分で選び、自分で決めること」の大切さへと広がり、会場は盛り上がりを見せました。

米良さんは最後に、「価値のある仕事を自分で主体的に選び取って働くこと」が、ソーシャルグッドキャリアにつながるとまとめ、会場から大きな拍手が沸き上がりました。

「つながる」|違うキャリアと出会うと、選択肢が広がる

セッションの合間は、2回に分け、少人数のラウンドテーブルが開催されました。

「NPOと民間企業を行き来するキャリア」「企業の中から社会を変えるという選択」「転職しないという選択」など、複数のテーマに分かれ、興味を持つテーブルに参加します。
そして、企業、NPO、ソーシャルベンチャー、行政・パブリックセクターなど、異なる場所でキャリアを重ねてきた「先輩研究員」と参加者が、同じテーブルを囲みます。

ここでは、経験を聞く。自分の思いを話す。問いを投げかける。別の人の話から、自分にはなかった選択肢に気づく。そんな「対話」が各テーブルで行われました。

自分一人の経験から想像できるキャリアには、どうしても限界があります。
ですが、違う道を歩いてきた人と話すことで、「そんな働き方もあるんだ」「今の会社にいながら、できることもあるかもしれない」「この人に、もう少し話を聞いてみたい」と、これまで見えていなかった選択肢が増えていきます。

ソーシャルグッドキャリアを、一人で探すのではなく、人とのつながりの中で育てていく。
この日、あちこちのテーブルで生まれた対話は、その最初の一歩になりました。

「動き出す」|WILLは“β版”。

一日の最後は、株式会社ローンディール代表取締役でWILL-ACTION Lab.所長の大川陽介さんによる「WILL-ACTION」の時間です。

大川さんが伝えたのは、「WILL(やってみたい気持ち)は、最初から完成していなくていい。ずっとβ版でいい」ということです。人と話したり、新しい場所に出れば、価値観は変わるもの。だから、「揺るがない自分の軸」が見つかるまで立ち止まるのではなく、今の時点でのWILLをいったん言葉にしてみるのが大事といいます。

会場で、大川さんが何度もくりかえし使った言葉があります。
それは「ちょっとだけ、はみ出す」。

今いる場所に軸足を残したまま、つま先だけ外へ出してみる感覚です。この研究会に参加すること自体も、普段の生活から少し「はみ出す」一つのACTIONだと説明しました。そしてWILLを考えるヒントは、「ありたい・やりたい・なりたい」という3つの「たい」をベースに考えることと付け加えます。「自分はこうありたい」という価値観、「こんなことをやりたい」という行動、その先に「こんな世界を実現したい」という未来。

どうしてもACTIONが見つからないときは、とにかく小さくする、と教えてくれました。たとえば「新規事業をつくる」では大きすぎても、「本屋に行く」「本を買う」「読む」「Aさんに話す」「Bさんに話す」と分解すれば、動きやすくなります。そして、大きな1歩を100個の小さなACTIONに分けるイメージを紹介。

このワークは1回で終わりではありません。WILLをもとに動く。動いた結果を受けて、もう一度WILLを確かめる。そして、また次のACTIONへ。

大川さんはこの往復を「Will-Actionサイクル(W-A-C=ワック)」と呼び、「2回以上回すと、“ワクワク”になります」と会場を笑わせました。考え続けるだけでも、行動し続けるだけでもなく、WILLとACTIONを行ったり来たりする。その往復によって、自分が本当に大切にしたいことも少しずつ更新されていきます。

WILLはβ版でいい。ACTIONも、大きくなくていい。
小さく動きながら、自分のWILLも更新していく。

その日のうちに研究員たちは、それぞれの「0.5歩」を動き始めました。

研究会は、この日で終わらない

クロージングで高藤は、改めてこう話しました。

社会をよくするために、自分を犠牲にするのではありません。
一人ひとりが生き生きと働き、その仕事が社会にもつながっていきます。
「社会にもよくて、自分にもいい」
そのように生きる仲間を、これからも増やしていきたいと考えています。


この研究会は今日一日では終わりません。今後、参加者限定のアフタートークを実施し、「あの日決めた0.5歩が、その後どうなったのか」行動や意識変化についても調査・発信していく予定です。

あなたなら、どんな0.5歩を踏み出しますか?

「社会に価値のある仕事に興味がある」「自分の経験を、どんな社会課題に活かせるのか知りたい」「今すぐ転職ではないけれど、自分のキャリアを考えてみたい」——そんなところからで構いません。誰かと話す。気になる世界を調べる。興味のある人に会ってみる。それも、キャリアを動かす0.5歩です。プロビティ・グローバルサーチでは、ソーシャルグッドな領域でのキャリア構築を支援しています。

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