【イベントレポート】「本当の自分」は探さなくていい? しんめいPさん×高藤悠子が語る、東洋哲学から考えるキャリアのあり方

「このままのキャリアでいいのだろうか」
「一定の評価はされているのに、なぜか満たされない」
変化の激しい時代、多くのビジネスパーソンがこうした問いを抱えています。
ソーシャルグッドキャリア・プラットフォームを運営するプロビティ・グローバルサーチ株式会社は、ベストセラー『自分とか、ないから。教養としての東洋哲学』の著者・しんめいP氏を迎え、2026年5月15日に「東洋哲学で考えるキャリア論」をテーマに特別対談イベントを開催しました。
対談相手は、これまで1万人以上のキャリア支援を行ってきた同社代表の高藤悠子。
東洋哲学とキャリア支援、それぞれの視点から語られた対話は、参加者一人ひとりに新たな視点をもたらしました。

イベント概要
- 日時:2026年5月15日(金)19:00〜21:00
- 会場:高福院
- 登壇者:
- しんめいPさん(作家/『自分とか、ないから。教養としての東洋哲学』著者)
- 高藤悠子(プロビティ・グローバルサーチ株式会社 代表取締役)
イベントレポート

「自分とか、ないから。」——東洋哲学が教えてくれること
イベント前半は、しんめいPさんの著書『自分とか、ないから。教養としての東洋哲学』の「とか」に込めた思いを語りました。
これは「自分がまったく存在しない無」という意味ではなく、「自分が頭の中で勝手に思い込んでいる、頼りない自分像(=自分”とか”)」はつねに変わるもの、という意味が込められているそうです。
本を執筆しながら過去をふり返ったとき、過去は自分に都合の良い記憶の点を結んで作った「雑な星座」のようなストーリーにすぎず、自己は状況や他者の視点によっていくらでも変化していく、と話します。
私たちは、自分の経験の中から都合の良い記憶を集めて「自分はこういう人間だ」という物語を作り上げます。
現状がうまくいかない時は、変えられない事実だと思い込んでしまいがちです。
しかし、自己像とは過去の記憶をどう結び直すかというストーリーの再構築に過ぎず、絶対的な真実などどこにもありません。

「天職探し」の時代は終わったのか
対話は次にキャリアの話題へと移っていきます。
「本当の自分」が存在しないとしたら、私たちは何を頼りにキャリアを選べばよいのでしょうか。
しんめいPさんは、転職やキャリア形成についても同じことが言えるのではないかと問いかけます。
東洋哲学では、「固定されて変わらない本質的な天職など最初から存在しない」と教えを説いています。社会も環境も自分自身もすべては変化するからこそ、一つの正解に固執しなくていい。
この考え方は、キャリアに悩む多くの人にとって大きな示唆を与えるものとなりました。

キャリアとは「職歴」ではなく「人生」である
高藤は20年以上にわたるキャリア支援の経験から、「キャリアとは職歴ではなく人生そのもの」という独自の視点を語りました。
子育てや介護、地域活動なども含め、その人がどのように生きてきたかという積み重ねそのものがキャリアです。また、キャリア市場の常識はこの20年で大きく変化してきました。
かつては、大企業からベンチャーに転職した場合「大企業には戻れない」と言われていましたが、現在では、スタートアップやソーシャルベンチャーで培った経験を評価し、大企業が積極的に採用するケースも増えています。
変化し続ける社会の中で、自分自身も変化しながら歩んでいくこと。その重要性を改めてお伝えしました。
「自分らしさ」と「社会との接点」をどう見つけるか
イベント後半で最も印象的だったのは、「自分らしさ」と社会との関係性についての議論でした。
近年、「自分らしく働く」という言葉を耳にする機会が増えています。
高藤は、キャリア形成においては、自分がやりたいことだけでは十分ではないと指摘します。
社会には求められる役割があり、市場にはニーズがあります。
自分がやりたいことと、社会から求められること。
その両方が重なる接点を見つけることが、持続可能なキャリアにつながるのではないか。
世間のレールや尺度でベストを尽くし、成果を出し続けてきた人ほど、「自分らしさ」の迷路に深く迷い込みがちです。
肩書や実績で自分を定義しようとするのをやめ、一度自分を「空っぽ(無)」にしてみる。
東洋哲学における「無」とはネガティブなものではなく、むしろ固定観念から自由になり、自己を肯定的に反転させるための強力な足場となります。
しんめいPさんもまた、「固定された自分」にこだわる必要はないと語ります。
東洋哲学とキャリア支援という異なる立場から語られた二人の言葉は、不思議なほど重なり合っていました。
参加者との対話から生まれた新たな気づき
イベントでは参加者との対話も活発に行われました。
さまざまな悩みが共有される中で、多くの参加者が共感していたのは、「本当の自分を見つけなければならない」という思い込みから少し自由になれたという点でした。
自分自身の変化や社会の変化を受け入れながら、自分も社会もよりよく生きる営みを選択していく新たなきっかけとなったようです。

おわりに
「本当の自分を見つける」
「正しいキャリアを選ぶ」
——私たちは知らず知らずのうちに、そんなプレッシャーを抱えているのかもしれません。
しかし今回の対談は、その前提そのものを問い直す時間となりました。
自分は変わり続ける。社会も変わり続ける。
だからこそ大切なのは、固定された答えを探すことではなく、自分と社会との接点を探り続けること。
プロビティ・グローバルサーチ株式会社は、これからも社会課題解決に挑戦する人々のキャリアを支援するとともに、多様な価値観と出会う機会を創出してまいります。
登壇者プロフィール

しんめいP氏(作家)
大阪府出身。東京大学法学部卒業。大手IT企業に入社し海外事業で世界中をとびまわるも、仕事ができないことがバレてひそやかに退職。鹿児島の島に移住して教育事業をするも、仕事ができないことがバレてなめらかに退職。一発逆転をねらって芸人としてR-1グランプリ優勝をめざすも1回戦で敗退し、引退。無職に。引きこもって布団の中にいたときに東洋哲学に出会い、衝撃を受ける。そのときの心情を綴ったnote「東洋哲学本50冊よんだら『本当の自分』とかどうでもよくなった話」が話題となり、書籍化に至る。
著書:『自分とか、ないから。教養としての東洋哲学』(サンクチュアリ出版)

高藤悠子(プロビティ・グローバルサーチ株式会社 代表取締役)
人材紹介歴20年、1万人以上のキャリア相談を実施。「社会によくて、自分にもよい」ソーシャルグッドな観点を軸として、若手優秀層から年収数億円の世界的エグゼクティブの転職支援に従事。タイで生活していた経験から仏教思想に興味を持ち、日本帰国後3年間で300万円かけて東洋哲学を学ぶ。幸せにキャリアを積み重ねる人材に共通している要素が東洋哲学・東洋思想の中にあると気づき、布教活動を企み中。
Forbes Japan NEXT100「世界を救う100通りの希望」選出。国際コーチング連盟ICF認定コーチ。
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