自立とは依存先を増やすこと

2023.12.04 お知らせ

最近よく聞くようになった「自立とは依存先を増やすこと」(おそらく、最初に発言されたのは当事者研究で有名な東京大学先端科学技術センターの熊谷晋一郎准教授)。

このフレーズを口にすると、多くの人が「そうだよね。」と共感をしてくれる。一方で、どういうこと?と訝しげな反応を受けることもままある。

前者の方にはより理解が深まるように、後者の方にはなるほど、と思って頂けるように自身の実体験を交えながら書いていこうと思う。

“経済的に収入が複数ある方が自立的である”
これはとても分かりやすいと思うが、今回はどちらかというと精神的な側面に焦点を当てたいと思い、自立を「自分が過度な無理をせず、自分に正直に健全に生きられている状態」と定義したい。

現代社会において、過度な無理とは、過度な“適応”と置き換えられると思う。過度な適応を試みた結果、心身のバランスを崩して社会生活に支障が出ている人も多い。(適応障害という病名まで存在する。)自覚するほどの症状が出る場合もあれば、症状を自覚せずに無自覚のまま真綿で首を絞めつけられるように、知らず知らずのうちに心身が蝕まれる経験をされたこともある人もいるのではなかろうか。

自分に正直に生きる、つまり、自分の価値観に基づいた言動が許容される世界観。そんな世界観とは裏腹に、多くの人が社会の規範や他者からの視線・評価を気にして自分を抑圧して生きているように見える。自分を抑圧せずに自分に正直に生きられる人は、強い人であって、自分にはそんなことは出来ない、と強者の論理として片づけてしまうことは簡単だろう。

確かに、強者の論理という側面はなくはないと思う。ホリエモンのようにビジネスの才も知力も体力も行動力もある人間であれば、他者に迎合する必要なんてないだろう。

だが敢えて、このように言いたい。
強者でも何者でもない者の“自分に正直に生きるための戦略”として、「自立のために依存先を増やす」ことが有効なのであると。

情報が溢れ、人と人が繋がりやすくなると、これまでにないスピードで価値観の多様化が自身の内側でも外側でも進む。自身の内側に関しては、様々な情報に触れたり、自分とは違う価値観の人に出会うことで強烈に揺さぶられる、揺さぶられ、葛藤し、日々アップデートされていく。これまでの自分ではいられない、そんな感覚を持つ人もおそらく少なくない。また、自分の外側の価値観もどんどん多様化、細分化していく。世界はどんどん複雑になっていく。更に言うと、自身の内側にも矛盾したものを抱えている人が大半だと思う。「人生において大切なものはお金では買えない。」「でも、大切なものはお金がないと維持出来ない。」このように少し対立する考えを持っていることは普通であると思う。自分は何て一貫性のない人間なのだろう、と悲しまないで欲しい。人間とはそもそもアンビバレントな存在なのである。

このような状況で自分の居心地のよい居場所(居場所とはつまり、内側と外側の変数の掛け算で成立する、物理的、心理的なスペース)を1つや2つのコミュニティに求めることの方が無理だろう。万が一、例外があるとすれば、全く変化しないもの同士がずっと同じ価値観で付き合う場合くらいだろうか。なので、複数のコミュニティに属し、自分の都合の良いようにホッピングすれば良いのだと思う。

僕は幸いなことにいくつかのコミュニティの方々と仲良くさせて頂いている。職場以外にも、マラソンを共通の趣味とするコミュニティ、和歌山のコミュニティ、オリックス・バファローズのファンのコミュニティ、Aliversのコミュニティ、eumoという通貨を中心とした経済圏のコミュニティ、高校の同級生、新卒で入った会社の同期、NVCを共に学ぶ仲間、ランディ・バースをこよなく愛するシェフとそのシェフを愛する仲間等々、、、

みなさん、こんな僕と仲良くして頂き、ありがとうございます!!

様々な価値観の体系に生きる人たちと数カ月に1度は直接会って、話をする機会を持っている。これは本当に助かっている。特定のコミュニティでは行き場のない感情を、別のコミュニティでぶちまけてスッキリし、昇華させることもたまにある。一定の配慮はしているつもりだが、遠慮はせず、言いたいことは言うし、誤解を恐れずに言うと、言いたいことを言って、そのコミュニティで自分の居場所がなくなるのなら、仕方ないかなとも思う。つまり、過度な適応を試みていない。これは僕が強いからではなく、心の拠り所を分散しているからだ。つまり、“自立とは依存先を増やすこと”なのである。

戦略としての合理性は説明出来たと思うが、“じゃあ、どうやってその環境を作ればいい?”にはまだ答えられていない。戦術の話が出来ていない。

限定されたコミュニティに留まる方にとっては、複数のコミュニティに属することも、そんなこと出来ない、と、強者の論理として片づけたくなることもあるかもしれない。確かに、新たなコミュニティに飛び込んでいくことのストレスは人によって様々だと思う。それ自体、簡単ではないと感じる人は多いだろう。そういう人は、少しだけ勇気を出して自分のコンフォートゾーンを一歩でも抜け出すことをオススメしたい。一緒に食事に行ったことのない人を誘って食事に行く、ちょっとしたボランティアに参加する、SNS上の何かのグループに参加する。直接コミュニティ参加につながることではないけど、いつもとは違う道を通って目的地に向かうくらいのことから始めるのでもいいのかもしれない。

少しだけ、無軌道に生きる自分を演じてみてはどうだろうか。人間は“現状維持が好きで好きでたまらない”ことを受け入れてあげて、自立のために小さい子どもがその過程を経るように、自転車の補助輪を外す勇気を少しだけ持ってみよう!

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