コミュニケーションのハノン

2024.03.27 マガジン

コミュニケーション程、その技術が軽んじられているものはないように思う。

生活の中でコミュニケーションの呪縛に縛られない者はほぼいない。好むと好まざるに関わらず、人は人とコミュニケーションを取らなければいけない。
良質なコミュニケーションを行うには、様々な能力を要する。

論理的に、構造的に理解し、伝える力。
相手の機微を感じ配慮をしながらも、言いたいことは言う胆力。
相手の話に解釈を加えずに聴き切る粘り強さ。
分かり合えないことを受け入れる潔さ。

列挙しだすとキリがないくらいに、右脳と左脳を、自身のあらゆる能力を総動員して行うことが求められるのがコミュニケーションであると思う。しかしながら、コミュニケーションについて語られる時に、性格であるとか、心の持ちようであるとか、先天的な能力のように扱われているのが残念でならない。

職場での人間関係で困っている人に対して「まぁ、それはコミュニケーションの問題やからね。」などと安易に言ってしまう人がなんと多いことか。
プロ野球球団からのドラフト指名を目指す高校球児の悩みに「160㎞の直球を投げられて、キレのいい変化球を四隅に制球出来れば大丈夫だよ。」と言っているようなものである。
このことを冒頭で“軽んじられている”と言ったのだが。

つまり、良質なコミュニケーションの方法については、知っていることと、出来ることの間には大きな隔たりがある。さらに、その乖離を埋めるために鍛錬が必要だという共通認識があまりにも希薄である。
専門的な言葉を使うと、受動的知識と能動的知識と言うらしく、ただ知っているだけの知識と、実際に運用出来ることの比率は平均で10:1という報告もある。我々は知っていることの10分の1程度しかアウトプット出来ないのである。

様々なコミュニケーションについて方法論や型があることは、様々な研修や書籍が出ていることが証明してくれている。方法論の良し悪しを批評するのではなく、まずは自身が気に入ったものを日々の生活で実践し、内在化し、自然とアウトプット出来る状態を目指すことが必要だと思う。その過程は、うまくいかず苦しい思いをする茨の道だと思う。ただ、創造的なコミュニケーションにより、「わかりあえない」を超えられた時の喜びは茨の中にしか答えがないのだとも思う。その過程は、豊かな感情表現をするピアニストが、無意識に両手の指を譜面通りに動かすために通る訓練「ハノン」と同様である。

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