24年前の11月24日

2021.11.24 お知らせ

COOのFです。

1997年11月24日 当時の四大証券会社の1つである、山一証券(以下:山一)が自主廃業をした日です。


僕は金融機関の事情に精通している訳でもなく、山一の一連の事件を調べるために膨大な時間を使った訳でもないため、考察が甘かったり、もしかすると用語などを誤って使っていることもあるかもしれないことをご了承ください。僕が知っている情報の中で、思うことを綴っていこうと思います。

’’何か、色々あるみたいだけど、うちみたいな大手が潰れるわけがない’’

当時の山一の社員の方はこのように思っていた方も多かったのではないでしょうか。山一を廃業に追い込んだものは、主に以下の3つです。全て違法行為です。


・損失補填(株などを買った方が損をしないように、取得額を下回った際に証券会社がその金額を保証するものです。)
・握り(株などを買う人に利回りを約束し、その利回りが出なかった場合に差額を保証するものです。)
・とばし(含み損を抱えた、金融商品を決算の度に関連会社にすり替え、公になることを避けるための手法です。)

バブル期は株価が右肩上がりで成長していたため、損失補填、握りをしようが、「売買手数料>証券会社側が顧客の損失を補填する金額」の公式が維持され、経営的には問題はなかったのです。
違法でありながら、どの証券会社もやっている、ある意味では”業界の暗黙のルール”だったようです。

金融庁からの指導が厳しくなり他社が損失補填、握りから手を引く中、山一はやめられなかったそうです。
その背景には社内政治に関する思惑もあったといいます。(○○本部長を社長にするためには、これだけ経営への貢献が必要、というような。)

バブル崩壊後は当然、バブル期のように株価が上がらないどころか、下落に向かいますので損失補填、握りのツケは、含み損という形で山一を直撃します。

分かりやすく説明すると、「現在、100円のA社の株は半年後には150円になります。もし150円にならなければ差額をうちが保証します。」などと言って、株を販売するわけですが、もし半年後にA社の株が80円になった場合に、山一に70円の損失が出るわけです。そのこと(含み損)を隠すため、債務を関連会社にすり替えて、その関連会社の決算期が来たらまた別の関連会社にすり替えて・・・
としているうちに帳簿に記載されない、簿外債務が雪だるま式に増えていったようです。

結果、自主廃業が決まった時の簿外債務は2648億円と言われております。これだけの金額が公表されずにいたとは、にわかには信じ難い事実です。そして多くの社員が、社内でこのようなことが起きていることを知らずに、新聞の一面で山一の自主廃業を知ることになったのです。

この事例から、まずもって思ったのは、人は時として実態のないものに強烈な幻想を抱く、そしてそれは人間の理性を麻痺させるだけの十分な魅惑を秘めていることが多い、ということです。

株などの金融資産が、投機目的で買われ上昇する、それに乗じて更に儲けようとする。そこに多くの場合、人と人との温もりのあるやりとりや、手触り感は存在しない。無機質な取引を、あえて言えば無意味な目的(誰かを幸せにしようとか、そういった目的ではなく、売上を上げる、だったり業界の地位を向上させるなどの目的)の為に無意味な取引を繰り返してしまう。そして、無意味なことにすら気づかないように巧妙に社会、会社が設計されているように思えてなりません。

山一の自主廃業から、何を学べばいいのでしょうか。

常に理性的であることは実は人間にとって難しいのかもしれません。
易きに流される、そういった人間の弱さを自覚し受け入れた上で、何が大切なのかを問い直す機会を持つことが大事なのでしょう。その機会を与えてくれるのは、無防備さを晒し語り合える仲間の存在であったり、影響を受けた愛読書だったりするのかもしれません

最後に、山一の自主廃業後に、社内で何が起きていたのかを徹底的に調べあげ、調査報告書にまとめたメンバーがいました。当時、山一のお払い箱の扱いをされていた、業務管理部にいたメンバーです。会社組織で不遇を受けながらも、最後まで証券会社の社員として、人としての誇りを捨てずに、事実に向き合った姿が、小説「しんがり山一證券 最後の12人」(著:清武英利)、ドラマ「しんがり-山一證券 最後の聖戦-」で描かれております。ご興味のある方は是非。

国破れて山河あり。

この文章が終わりを迎えようとする中、そんな言葉が浮かんできました。

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